ThinkPad T420sに1TBのmSATA SSDは使えるか

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ThinkPad X40の方はこちら→ThinkPad X40は10年の時を経た今、使い物になるのか
ThinkPad X300の方はこちら→ThinkPad X300の装備を最強にして現役復帰させた話

まえおき

私が普段使っているPCは、ThinkPad T420sです。2011年6月に発売されたようなので、もうすぐ4年目に突入でしょうか。最近はPCも安くなっているので、何か不満があれば買い換えた方が良いのでしょうが、そうできない理由があります。
ThinkPadのキーボードは評判がよく、私も非常に気に入っており、ノートPCはずっとThinkPadを使っています(ちなみにThinkPad歴は ThinkPad X40 → X300 → T420s です)。ThinkPad Tシリーズは、T420 → T430 → T440と世代が進んでいるので、そろそろ買い替えも検討したい時期です。でもそれができない理由は、前にも書いたキーボードです。まず、私が使っているT420sのキーボードをお見せします。

実にレイアウトが自然でキータッチも素晴らしく、使いやすいです。タッチパッドは不要のためOFFにしていますが、今やトラックポイントが無いとPCを使うのが苦痛なくらいです。

次に、430のキーボードです。

キーボードレイアウトが色々と破たんしています。

最後に、440のキーボードです。

トラックポイントが致命的に使いにくくなっています。

ThinkPadのキーボードは、ここ数年色々と試行錯誤しているふしがあり、安定するまではちょっと手が出せないという印象です。

という事で、今使っているThinkPad T420sを出来るだけ長く使っていきたいのです。CPU性能は、近年は省電力化に進化の方向が進んでいるため、性能的には3年落ちのPCでも現在のPCと引けを取りません。メモリも16GBを搭載しており、まったく不満がありません。最新のPCとスペックと比較すると、次のような感じです。

私のPC(T420sカスタマイズ) T440s(現行最高スペックモデル)
CPU プロセッサ・ナンバー i7-2640M i7-4600U
コアの数 2 2
スレッド数 4 4
動作周波数 2.8GHz 2.1GHz
ターボ・ブースト時 3.5GHz 3.3GHz
インテル® スマート・キャッシュ 4MB 4MB
命令セット拡張 AVX SSE 4.1/4.2, AVX 2.0
最大 TDP 35W 15W
メモリ 16GB 12GB(増設不可)

スペックでは全然負けていません。

ただ、HDDのパフォーマンスが悪く、空き容量的にも厳しくなってきました。そこで、長く使い続けるためにHDDからSSDに交換する事にしました。
…前置きが長くなってしまいました。本題に入ります。

容量はどうする?

今ついているHDDが500GBなので、それより大きなものが欲しいです。
また、SSDは発売当初は耐久性に問題があるのではないかと言われていました。書換え回数に上限があり、しばらく使ったら壊れてしまうのではないかといわれていました。実際には実用上、問題ない耐久性を有しています。その原理は、SSDの内部のコントローラが分散してデータを書き込むため、一か所に書換えが集中しないようになっているからです。つまりは、書換えが一か所に集中すると寿命に問題が起こるが、書換えを保存領域全体に分散させるように制御する事により実用上、問題ない製品寿命を実現しているという事です。逆に言うと、容量が大きいほど書き込みがより分散されるため、より高寿命となります。
これらの理由から、現在、入手可能な一般ユーザ向け製品の中で最も大容量である1TBのSSDに挑戦しようと決めました。

買いに行く

ヨドバシカメラへ行って市場調査です。

SATA3のSSDで約6万円です。…た、高いです。とっても高いです。これだけ出せば安いPCが買えてしまいます。さらによく見てみると、mSATAの1TBがあります。mSATAとは、通常のSATAのHDDやSSDは2.5インチサイズなのですが、切手よりひとまわり位大きいくらいの、非常にコンパクトなサイズの規格です。このサイズで1TBの容量を実現するとは、凄い時代になったものです。そして値段がなんと「77,860円」!?。異次元の高さです。SATAの同容量のものより、さらに約1万7千円高いです。写真じゃちょっと分かりにくいですが、差額で250GBのSSDが買えてしまう程です。

ThinkPad T420sにはmSATAの空きスロットがあります。…悪い癖が出そうになります。「せっかくだから、mSATAの方を試した方が面白いのでは…」。しかし、今回の目的は1TBのSSDを買う事です。mSATAである必要あはありません。さて、どうする。ネットでThinkPad T420sでmSATAに1TBのSSDを使っている事例が無いか探してみます。…見当たりません。店員に聞いてみます。「相性については答えられない。初期不良での交換には応じられるが、相性で使えなくても交換は出来ない」。困った。どうしよう。数分悩んだのち、決断しました。

私は、とうに読者とThinkPadの為なら心臓を捧げると誓った兵士!! その信念に従った末に給料が果てるのなら本望!! 私が持つ『人柱の力』と残存するThinkPad T420sユーザの後押しが組み合わされば!! このmSATAのSSDの購入も不可能ではありません!! 人類の栄光を願い!! これから死に行く、せめてもの間に!! mSATAの戦術的価値を説きます!!

あ、すいません。突然「進撃の巨人」ネタを織り交ぜてしまいました。金額にクラクラしてちょっとテンションがおかしいのです。という事で、mSATAの方を買いましたよ(レジでちょっと値引きがありました)。

開封

購入したのがこれ。


Samsung SSD 840 EVO mSATA MZ-MTE1T0B/IT
Samsung SSD 840 EVO mSATA MZ-MTE1T0B/IT

開封してみると、とってもちっさいです。どれくらい小さいかというと、UHA味覚糖×進撃の巨人「進撃のミント」のケースの中に入ってしまう位です。

あ、またわかりにくいですね。フリスクにしておきます。

ちょっと納まりきらないくらいの大きさです。

もともとついていた2.5inch 500GBのHDDと大きさを比べてみます。

容量は2倍になっているのに、体積と重さはとてつもなく小さくなっています。

切断した腕はその質量にあるべき重量には到底達していなかった。

あ、すいません。「進撃の巨人」のセリフを突如発してしまいました。

装着

装着位置は次の通りです。

mSATAスロットは、プラスドライバでねじを2本外せば簡単にアクセスできます(あ、バッテリは外して作業しましょう)。装着すると次のような感じです。

データ移行を行う必要があるので、HDDは付けたままにしておきましょう。

データ移行

SamsungのSSDを購入した場合、Samsungが用意しているソフトウェアが利用できます。 http://www.itgm.co.jp/support/ へアクセスし、製品に記載されているモデルコードとシリアルナンバーを入力するとサポートページへ移動します。サポートページからソフトウェアダウンロードページへ入り、Samsung Data Migration Softwareをダウンロード&インストールしてください。そこからはすごく簡単です。
①起動

②パーティションサイズの調整

※初期状態ではThinkPadに標準であるデータリカバリ用のパーティションが大きなサイズだったので、縮めました。

③開始~完了


ね、簡単でしょ?
500GBのデータ移行で1時間半位だった気がします。
【注意事項】データ移行中に作成したファイルは、移行先のドライブに保存されないようなので、注意してください。

動作確認

いちどPCを終了し、もともと付いていたHDDを外したのち、PCを起動します。容量が増えて認識されていれば成功です。

やったぜ!

性能比較

まず、Windowsエクスペリエンス インデックスを比較します。

変更前(HDD) 変更後(mSATA SSD)

プライマリ ハードディスクが5.9から7.7に向上しました。素晴らしい。

次に、CrystalDiskMarkを試します。

変更前(HDD) 変更後(mSATA SSD)

…変更前と比べると素晴らしい性能ですが、ネットで事前に調べた数値には届きません。体感できるくらい劇的に速くなったのですが、これでは喜び半減です。さて、どうしたものか。

仮説を立てます。
ThinkPad T420sのHDDが付いているI/FはSATA3(6Gbps)で、mSATAはSATA2相当(3Gbps)なのではないか。

「モビルスーツの性能を生かせぬまま、死んで行け」。…そう言われた気分です(あ、元ネタはたぶんガンダムです)。このまま終わってしまうのか。

悪あがき

調べてみると、こういった製品を発見しました。



mSATASSD-2.5型SATA SSD変換基盤 KRHK-mSATA/S7

写真があるからお分かりかと思いますが、買いました。Amazonで2,042円でした。人柱覚悟で7万円以上出しておいて2千円をケチる理由は見当たりません。

さっそく装着します。

mSATAのSSDが2.5インチSATAに早変わり。

ここまで来たら、これも試さない理由はありません。



ThinkPad SATA ハードディスクドライブ・ベイアダプターIII
DVDドライブベイにHDDを接続するためのアダプタです(写真はSSDではなくHDDです)。

背面で説明すると、次のような感じです。

CrystalDiskMarkを試します。

mSATAスロット HDDベイ ウルトラベイ

たぶん、予想通りですね。Windowsエクスペリエンス インデックスも取り直してみます。

mSATAスロット(HDD) HDDベイ

プライマリ ハードディスクが7.7から7.9にさらに向上しました。

やった、完全勝利!
いや、待てよ。つまり…

mSATAを買う必要がなかったって事か!?

まとめ

・ThinkPad T420sでmSATA 1TBは使えるか?
 →使えた。ただし、SATA2(3Gbps)の速度で頭打ちとなる
・mSATA-2.5inchSATA変換アダプタは使えるか?
 →使える。HDDと置き換えでも良いし、ウルトラベイにベイアダプター経由でもOK。
・ThinkPad T420sのSATAの速度は?
 →たぶん、HDDベイ:SATA3(6Gbps)、ウルトラベイ:SATA3(6Gbps)、mSATA:SATA2(3Gbps)
・っていうか、ThinkPad T420sにmSATA SSDって、意味ある?
 →mSATA SSDからOSを起動してHDDをデータ領域として使うとかが良いのでは?
  その場合、SSDは120GB~240GB位で十分じゃないでしょうか。
  注意点としては、mSATA SSDの性能を使いきれない可能性あり(それでもHDDと比べると劇的に速くなる)。

あとがき

「でも私は役に立ったんですよね。 何か直接の手柄はなくても私の人柱行為は人類の反撃の糧になったんですよね。」
「もちろん・・いや・・今回の調査で我々は、いや、今回も・・くっ・・何の成果も得られませんでしたぁぁ!!私が無能なばかりにただいたずらに金を無駄使いし、奴らの正体を突き止めることが、できませんでしたぁぁ!!」

という事で、進撃の巨人ネタで〆とします。さようならー。

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ThinkPad T420sに1TBのmSATA SSDは使えるか” への12件のコメント

  1. mSATAソケットが付いていたらSSDのガワやmSATA変換基盤を付けなくて良いので簡単に軽量化が図れそう…と考えると面白いですね
    T420Sは1.8kgと中量級ですが、モバイルノートなら速度を犠牲にしても軽量さを求めるなんて遊び方も出てきます
    新たな発想の起点を頂きありがとうございました

    • AKIさん

      コメントありがとうございます。お役にたてたようで良かったです。
      T420sは拡張性が高いので色々と遊び甲斐がありますよね。他にもアイデアが浮かんだらやってみたいと思います。

      ちなみに、AKIさんのコメントが記念すべき当サイト初のコメントでした。
      これからもどうぞよろしくお願いします。

  2. 私も最初 mSATAのPLEXTORのSSDを取り付けました。
    同じように、ベンチの低さに気づきました。

    それで、mSATAを3.5インチHDのケースに内蔵できる変換アダプタに入れてHDDベイに挿入。
    めでたくベンチも改善。
    しかし、しばらくしてブルースクリーンに遭遇。どうやら熱暴走の模様。
    調べるとPLEXTORのSSDは熱暴走に弱いとか。熱がこもらないようにケースのカバーを外したりもしてみましたが改善できず。
    あきらめて別のSSDを購入しました。(T_T)

    • ごとうさん

      mSATAの仕様とか、やってみないと分からないですよね。
      (ThinkPadは仕様がかなりオープンなので、マニュアルを見れば書いてあるのかも知れませんが)

      熱に弱いのは困りものですよね。性能の良いPCは排熱性能がギリギリだったりするので尚更かもしれません。
      私も最近、PCの調子が悪いなーと思った時に、FANの掃除をしたら調子が戻りました。

      余ったパーツは、忘れたころに活躍したりもするので、それもまた一興だったりします。
      (例:ThinkPad X40は10年の時を経た今、使い物になるのか

  3. T420Sを大変、気に入っていたのですが、持ち運びが激しく、液晶に一筋の線が入ってしまい、また、我慢ができないぐらい動作が重くなってきたので、買い替えのために、いろいろ調べていた時、この記事に出会いました。ダメ元のつもりで、SamsungのmSATAのSSDを購入し、メモリの近くのスロットに差してみたところ、驚くほど劇的に速くなりました。続けて愛用することができます。有益な情報をいただき、ありがとうございました。現在でもすでに、充分早いのですが、欲が出て、2.5インチ変換ケースもポチりました。さらに、調子に乗って、家で眠っている古いPCにもSSD入れてみるつもりです。ありがとうございました。

    • おやじ48さん

      お役に立てたようでよかったです。
      SSDを搭載したT420sは、最新のハイスペックPCにはさすがに負けますが、ミドルスペックPCよりはよっぽどサクサク動いてくれると思います。
      液晶についても、ThinkPadユーザは自分で交換している人もたくさんいるようなので、インターネットで情報を探ってみてもいいかも知れませんね。

  4. 中古のThinkPadを購入して、パーツのカスタマイズを検討しているところで、こちらの記事を拝見しました。大変参考になりました。
    ありがとうございました。

    • のののさん

      参考になったようで良かったです。
      ThinkPadは部品単位で色々なものが入手できるから良いですよね。

  5. はじめまして!素晴らしい記事を楽しく読ませていただきました。
    1年そこそこのジャンカーですが、L420を落としてからThinkpadにはまりはじめ、今は他の機械は”PCみたいななにか”、としか思えませんw
    「E」は、、、ちゃちい、かなー(130と420持ってます)
    430はなんかちょっと見た目がちゃちくなってるんで敬遠、やっぱ420みたいなのがいいっすね。
    mSATA128つけていますが、1Tの破壊力すごいっすね!!化物w
    mSATAスロットにつけ、2.5inには500GBのHDD入れています。128はそう早くないのでまぁ今のままでしかたがないかーと思ってますが、そのうち1T試してみたいです! そしたら仕様を真似させていただきます♪

    • うにさん

      一度ハマっちゃうと、少なくともモバイルPCはThinkPad一択になっちゃうんですよね。嬉しいやら悲しいやら。まあ満足しているので良いのですが。
      ストレージも最低スペックが1TBという感覚になっちゃっているので、次のPCを選ぶのに困っています。
      E130は仕事で今でも時々使いますが、ちょっと辛い所があります。見た目は結構好きです。
      L420はCPU交換も出来るみたいなのでやりがい(?)がありそうですね!

  6. 欲しい答えがすべてここにありました。
    ありがとうございます。
    あなたの投資は決して無駄にはなっていません。(私の為に)

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